契約期間中に仕事は辞める場合

派遣会社はあなたと期間を定めて雇用契約を結んでいるので、あなたは契約をした期間を誠実に守る義務を負っています。また、派遣先企業もあなたの働きに期待しており、途中で抜けられてしまうと仕事ができなくなる恐れがあります。ですから、基本的に契約期間内は勤務を継続する最大限の努力をする必要があります。

とはいえやむを得ない事由が生じた場合はしかたがありません。その際は速やかに派遣会社に理由を説明・相談して指示に従うようにしてください。派遣会社はその連絡を受けてから派遣の終了日の確定から後退派遣スッタフの手配を始めるため、早ければ早いほど柔軟に対応してくれるでしょう。

なお、派遣会社は派遣先企業にたいして派遣契約を結んでいます。ですから、あなたという労働力を契約期間内は働かせていくという義務を負っています。ですからやむを得ない事由であるにしろ、いち社会人としてあなたも出来る限り柔軟な対応をするよう心がけましょう。

補足~やむを得ない事由とは~
「やむを得ない事由」とは、あなたから辞める場合、大きく分けて以下の4点が考えられます。

(1)まったく個人的な理由(例:旅行に行きたくなった)
(2)他の会社への就職
(3)健康上の理由(例:就職後になって手術が必要な病気になった)
(4)家族の事情(例:家族の病気や要介護状態、夫の転勤など)

(1)まったく個人的な理由の場合

おそらく派遣会社はあなたの勝手な退職だとして、許されないと主張する可能性が高いです。それは前述でも述べましたが、派遣会社は派遣先企業にたいして派遣契約を結んでおり、それを履行する義務があるからです。

ただし労働者には「職業選択の自由」や「退職の自由」がありますので、派遣会社が退職を実力で妨害することはできません。ですから事実上辞めることは可能となります。

しかし、あなたがもし前ぶれもなく突然に退職したら、派遣先に大きな損害が生じる可能性が出てきます。その時は派遣先から派遣元に労働者派遣契約違反の責任(損害賠償責任)の追及があると同時に、派遣元からあなたに損害賠償請求がある可能性も否定できません。

ですから、いち社会人としてこのような行動で辞めることはないよう心がけることが必要です。

(2)他の会社への就職の場合

おそらく、この理由でも派遣会社は労働者の勝手な退職だとして、許されないと主張する可能性が高いです。しかし、この事由に関しては一方的にあなただけに責任があるかと言うとそうではありません。

それは派遣社員の場合は、正社員と比べて雇用が不安定で、労働条件も悪い可能性が高いからです。ですので、正社員の就職口があれば、そちらに変わることに大きなメリットがあります。一方、派遣元はもしその労働者を継続的に雇いたいのであれば、労働条件を改善し、労働者の自発的な意思によって職場にとどめるのが筋となります。

なお、この事由で派遣元が損害賠償請求をあなたに請求しても、成立する可能性は低いと思われます。それは、その事由で訴えられ、認められた事案として多くの場合退職金のある正社員で、競争会社への就職の場合に、退職金を支払わないという減額例しかないからです。

派遣社員であれば、通常退職金がありませんのでその減額を請求することはできません。あと考えられることは会社として根拠のある損害賠償額を示して労働者に賠償請求することだけです。

正社員であれば、会社が労働者の引き抜きを防止するために「競業避止義務」を定めることがあります。しかし、正社員よりも身分が不安定で賃金も高くない派遣労働者が競合他社に行き、派遣元へ損害を被る働きをするとは理屈のうえでは有り得るとしても、それが裁判で認められるのは余程の事情があるなどのごく例外的な場合に限られると思われます。

(3)健康上の理由・(4)家族の事情の場合

あなたに(3)・(4)の理由があれば契約期間の終了まであっても、常識的にも働くことを継続することは厳しいと思われます。ですから派遣会社も考慮したうえで迅速に対応してくれるでしょう。

辞める場合は速やかに報告を

どのような理由があるにせよ、前述でも書きましたが、派遣会社は派遣先企業にたいして派遣契約を結んでおり、それを守る義務があります。また派遣先企業もあなたの抜けた分の労働力を速やかに確保しなくてはなりません。

ですから、あなた側も迅速かつ柔軟な対応を心がけることを心がけましょう。余程の専門的業務でなければ、派遣会社も速やかに代替者を探してくれるはずです。

その他

もし「契約違反」「労働法規違反」「信頼関係の破壊」などの事由があれば、あなたははそれらを契約解除の「やむを得ない事由」として主張することができます。この場合、同時に、労働者は即時に労働契約を解除できますし、生じた損害(例えば時間外労働の未払い賃金など)を使用者に賠償するように求めることも可能です。

ですから、派遣契約をするときはしっかりと契約書をしっかりと理解したうえで了承すること、普段の仕事の中でそれがしっかりと守られているかをあなた自身で確認してください。



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