派遣先は、紹介予定派遣により雇い入れた労働者については、試用期間を設けてはいけません。
紹介予定派遣を行う場合の取扱いについては、第1の4によるほか、派遣先は次の(1)から(7)に留意すること。
(1)紹介予定派遣を受け入れる期間
派遣先は、紹介予定派遣を受け入れるに当たっては、6か月を超えて、同一の派遣労働者を受け
入れないこと(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の18の(1)(第9の15参照))。
(2)職業紹介を希望しない場合又は派遣労働者を雇用しない場合の理由の明示
イ:派遣先は、紹介予定派遣を受け入れた場合において、職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた派遣労働者を雇用しなかった場合には、派遣元事業主の求めに応じ、それぞれのその理由を派遣元事業主に対して書面、ファクシミリ又は電子メールにより明示すること(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の18の(2)(第9の15参照))。
ロ:イに関連して、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の12の(2)において、派遣元事業主は、紹介予定派遣を行った派遣先が職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた労働者を雇用しなかった場合には、派遣労働者の求めに応じ、それぞれその理由について、派遣先に対して書面、電子メール又はファクシミリにより明示するよう求めるものとし、また派遣先から明示された理由を、派遣労働者に対して書面、ファクシミリ又は電子メール(ファクシミリ又は電子メールによる場合にあっては、当該派遣労働者が希望した場合に限る。)で明示するものとすることとされているので十分留意すること。
(3)派遣労働者の特定に当たっての年齢・性別による差別防止に係る措置
紹介予定派遣については、派遣先が派遣労働者を特定することを目的とする行為が可能であるが、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の18の(3)及び(4)において、派遣先は、紹介予定派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為又は派遣労働者の特定(以下、「特定等」という。)を行うに当たっては、直接採用する場合と同様に、雇用対策法第10条及び雇用対策法施行規則第1条の3並びに男女雇用機会均等法に基づく「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」の内容と同様の内容の措置を適切に講ずるものとすることとされている。したがって、派遣労働者の特定等を行うに当たっては、これらの指針に従って年齢・性別による差別を行ってはならない。
18 紹介予定派遣
(3)派遣先が特定等に当たり雇用対策法(昭和41年法律第132号)第10条の趣旨に照らし講ずべき措置
①:派遣先は、紹介予定派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為又は派遣労働者の特定(以下「特定等」という。)を行うに当たっては、次に掲げる措置を講ずること。
ア:②に該当するときを除き、派遣労働者の年齢を理由として、特定等の対象から当該派遣労働者を排除しないこと。
イ:派遣先が職務に適合する派遣労働者を受け入れ又は雇い入れ、かつ、派遣労働者がその年齢にかかわりなく、その有する能力を有効に発揮することができる職業を選択することを容易にするため、特定等に係る職務の内容当該職務を遂行するために必要とされる派遣労働者の適性、能力、経験、技能の程度その他の派遣労働者が紹介予定派遣を希望するに当たり求められる事項をできる限り明示すること。
②: 年齢制限が認められるとき(派遣労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるとき以外のとき)派遣先が行う特定等が次のアからウまでのいずれかに該当するときには、年齢制限をする
ことが認められるものとする。
ア:派遣先が、その雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをしている場合において当該定年の年齢を下回ることを条件として派遣労働者の特定等を行うとき(当該派遣労働者について期間の定めのない労働契約を締結することを予定する場合に限る。)。
イ:派遣先が、労働基準法その他の法令の規定により特定の年齢の範囲に属する労働者の就業等が禁止又は制限されている業務について当該年齢の範囲に属する派遣労働者以外の派遣労働者の特定等を行うとき。
ウ:派遣先の特定等における年齢による制限を必要最小限のものとする観点から見て合理的な制限である場合として次のいずれかに該当するとき。
ⅰ:長期間の継続勤務による職務に必要な能力の開発及び向上を図ることを目的として、青少年その他特定の年齢を下回る派遣労働者の特定等を行うとき(当該派遣労働者について期間の定めのない労働契約を締結することを予定する場合に限り、かつ、当該派遣労働者が職業に従事した経験があることを特定等の条件としない場合であって学校(小学校及び幼稚園を除く。)、専修学校、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第
15条の6第1項各号に掲げる施設又は同法第27条第1項に規定する職業能力開発総合大学校を新たに卒業しようとする者として又は当該者と同等の処遇で採用する予定で特定等を行うときに限る。)。
ⅱ:当該派遣先が雇用する特定の年齢の範囲に属する特定の職種の労働者(当該派遣先の人事管理制度に照らし必要と認められるときは、当該派遣先がその一部の事業所において雇用する特定の職種に従事する労働者。以下「特定労働者」という。)の数が相当程度少ない場合(特定労働者の年齢について、30歳から49歳までの範囲内において、派遣先が特定等を行おうとする任意の労働者の年齢の範囲(当該範囲内の年齢のうち最も高
いもの(以下「範囲内最高年齢」という。)と最も低いもの(以下「範囲内最低年齢」という。)との差(以下「特定数」という。)が4から9までの場合に限る。)に属する労働者数が、範囲内最高年齢に1を加えた年齢から当該年齢に特定数を加えた年齢までの範囲に属する労働者数の2分の1以下であり、かつ、範囲内最低年齢から1に特定数を加えた年齢を減じた年齢から範囲内最低年齢から1を減じた年齢までの範囲に属する労働者数の2分の1以下である場合をいう。)において、当該職種の業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の継承を図ることを目的として、特定労働者である派遣労働者の特定等を行うとき(当該派遣労働者について期間の定めのない労働契約を締結することを予定する場合に限る。)。
ⅲ:芸術又は芸能の分野における表現の真実性等を確保するために特定の年齢の範囲に属する派遣労働者の特定等を行うとき。
ⅳ:高年齢者の雇用の促進を目的として、特定の年齢以上の高年齢者(60歳以上の者に限る。)である派遣労働者の特定等を行うとき、又は特定の年齢の範囲に属する労働者の雇用を促進するため、当該特定の年齢の範囲に属する派遣労働者の特定等を行うとき(当該特定の年齢の範囲に属する労働者の雇用の促進に係る国の施策を活用しようとする場合に限る。)。
(4)派遣先が特定等に当たり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号。以下「均等法」という。)第5条及び第7条の趣旨に照らし行ってはならない措置等
①:派遣先は、特定等を行うに当たっては、例えば次に掲げる措置を行わないこと。
ア:特定等に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。
イ:特定等に当たっての条件を男女で異なるものとすること。
ウ:特定に係る選考において、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
エ:特定等に当たって男女のいずれかを優先すること。
オ:派遣就業又は雇用の際に予定される求人の内容の説明等特定等に係る情報の提供について、男女で異なる取扱いをすること又は派遣元事業主にその旨要請すること。
②:派遣先は、特定等に関する措置であって派遣労働者の性別以外の事由を要件とするもののうち、次に掲げる措置については、当該措置の対象となる業務の性質に照らして当該措置の実施が当該業務の遂行上特に必要である場合、事業の運営の状況に照らして当該措置の実施が派遣就業又は雇用の際に予定される雇用管理上特に必要である場合その他の合理的な理由がある場合でなければ、これを講じてはならない。
ア:派遣労働者の特定等に当たって、派遣労働者の身長、体重又は体力を要件とすること。
イ:将来、コース別雇用管理における総合職の労働者として当該派遣労働者を採用することが予定されている場合に、派遣労働者の特定等に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること。
③:紹介予定派遣に係る特定等に当たっては、将来、当該派遣労働者を採用することが予定されている雇用管理区分において、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない場合においては、特定等の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して特定することその他男性と比較して女性に有利な取扱いをすることは、均等法第8条に定める雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的とする措置(ポジティブ・アクション)として、①にかかわらず、行って差し支えない。
④:次に掲げる場合において①において掲げる措置を講ずることは、性別にかかわりなく均等
な機会を与えていない、又は性別を理由とする差別的取扱いをしているとは解されず、①に
かかわらず、行って差し支えない。
ア:次に掲げる職務に従事する派遣労働者に係る場合
ⅰ:芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請から男女のいずれかのみに従事させることが必要である職務
ⅱ:守衛、警備員等防犯上の要請から男性に従事させることが必要である職務(労働者派遣事業を行ってはならない警備業法(昭和47年法律第117号)第2条第1項各号に掲げる業務を内容とするものを除く。)
ⅲ:ⅰ及びⅱに掲げるもののほか、宗教上、風紀上、スポーツにおける競技の性質上その他の業務の性質上男女のいずれかのみに従事させることについてこれらと同程度の必要性があると認められる職務
イ:労働基準法第61条第1項、第64条の2若しくは第64条の3第2項の規定により女性を就業させることができず、又は保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第3条の規定により男性を就業させることができないことから、通常の業務を遂行するために、派遣労働者の性別にかかわりなく均等な機会を与え又は均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合
ウ:風俗、風習等の相違により男女のいずれかが能力を発揮し難い海外での勤務が必要な場合その他特別の事情により派遣労働者の性別にかかわりなく均等な機会を与え又は均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合
(4)派遣労働者の特定
紹介予定派遣について派遣先が派遣労働者を特定することを目的とする行為が認められるのは、あくまで円滑な直接雇用を図るためであることにかんがみ、派遣先が、試験、面接、履歴書の送付等により派遣労働者を特定する場合は、業務遂行能力に係る試験の実施や資格の有無等、社会通念上、公正と認められる客観的な基準によって行われることが必要であることに十分に留意して行うこと。
(5)派遣就業期間の短縮
派遣就業期間の短縮については、第8の16の(3)に同じ。
(6) 求人・求職の意思確認を行う時期、及び職業紹介を行う時期の早期化求人・求職の意思確認を行う時期、及び職業紹介を行う時期の早期化については、第8の16の(4)に同じ。
紹介予定派遣が行われる場合については、派遣先に対し、次のような指導を行うこととするので配慮の上、的確な指導の実施を図ること。
①:派遣先は、紹介予定派遣により雇い入れた労働者については試用期間を設けないよう必要な指
導を行うものとすること。
②: 派遣就業終了後に派遣先が職業紹介を受けることを希望せず、又は職業紹介の結果派遣労働者を採用することとならなかった場合であって、当該派遣先が当該派遣労働者を特定して労働者派遣を受けることを希望した場合には、当該派遣先に対し、当該派遣労働者の雇入れについて必要な指導を行うものとすること。
③:派遣就業期間中に派遣先が派遣労働者に対して採用内定を行うことは可能であるが、紹介予定派遣における採用内定についても、紹介予定派遣によらない通常の採用内定の取扱い(解約権を留保した労働契約が成立したものとする判例がある。)と同様と考えられ、また、採用内定の取消しの取扱いについても同様(解約権留保の趣旨・目的に照らし社会通念上相当として是認することができなければ、解約権の濫用に当たり無効とする判例がある。)と考えられることから、必要な指導を行うものとすること。