派遣労働者の特定にあたって、年齢・性別による差別防止

労働者派遣は、派遣先が派遣労働者を特定する行為は禁止されていますが、紹介予定派遣においてのみ、派遣先が派遣労働者を特定する行為(試験、事前面接、履歴書の送付など)は認められています。

しかし、特定行為を行う場合は、直接雇用の労働者を採用する場合と同様に、雇用対策法第10条及び雇用対策法施行規則第1条の3並びに男女雇用機会均等法に基づく「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」の内容と同様の内容の措置を適切に講じなければなりません。したがって、派遣労働者の特定等を行うに当たっては、これらの法令や指針に従って年齢・性別による差別を行ってはいけません。

<条文>
派遣法第26条第7項

労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。

派遣先指針第2の18(3)(4)

(3)派遣先が特定等に当たり雇用対策法( 昭和4 1年法律第132号)第10条の趣旨に照らし講ずべき措置
①派遣先は、紹介予定派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為又は派遣労働者の特定(以下「特定等」という。) を行うに当たっては、次に掲げる措置を講ずること。
 ア:②に該当するときを除き、派遣労働者の年齢を理由として、特定等の対象から当該派遣労働者を排除しないこと。
 イ:派遣先が職務に適合する派遣労働者を受け入れ又は雇い入れ、かつ、派遣労働者がその年齢にかかわりなく、その有する能力を有効に発揮することができる職業を選択することを容易にするため、特定等に係る職務の内容、当該職務を遂行するために必要とされる派遣労働者の適性、能力、経験、技能の程度その他の派遣労働者が紹介予定派遣を希望するに当たり求められる事項をできる限り明示すること。

②年齢制限が認められるとき( 派遣労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるとき以外のとき)派遣先が行う特定等が次のアからウまでのいずれかに該当するときには、年齢制限をすることが認められるものとする。
 ア:派遣先が、その雇用する労働者の定年( 以下単に「定年」という。)の定めをしている場合において当該定年の年齢を下回ることを条件として派遣労働者の特定等を行うとき(当該派遣労働者について期間の定めのない労働契約を締結することを予定する場合に限る。)。
 イ:派遣先が、労働基準法その他の法令の規定により特定の年齢の範囲に属する労働者の就業等が禁止又は制限されている業務について当該年齢の範囲に属する派遣労働者以外の派遣労働者の特定等を行うとき。
 ウ:派遣先の特定等における年齢による制限を必要最小限のものとする観点から見て合理的な制限である場合として次のいずれかに該当するとき。
  ⅰ:長期間の継続勤務による職務に必要な能力の開発及び向上を図ることを目的として、青少年その他特定の年齢を下回る派遣労働者の特定等を行うとき( 当該派遣労働者について期間の定めのない労働契約を締結することを予定する場合に限り、かつ、当該派遣労働者が職業に従事した経験があることを特定等の条件としない場合であって学校( 小学校及び幼稚園を除く。)、専修学校、職業能力開発促進法( 昭和44年法律第64号) 第15条の6第1項各号に掲げる施設又は同法第27条第1項に規定する職業能力開発総合大学校を新たに卒業しようとする者として又は当該者と同等の処遇で採用する予定で特定等を行うときに限る。)。
  ⅱ:当該派遣先が雇用する特定の年齢の範囲に属する特定の職種の労働者(当該派遣先の人事管理制度に照らし必要と認められるときは、当該派遣先がその一部の事業所において雇用する特定の職種に従事する労働者。以下「特定労働者」という。)の数が相当程度少ない場合(特定労働者の年齢について、30歳から49歳までの範囲内において、派遣先が特定等を行おうとする任意の労働者の年齢の範囲(当該範囲内の年齢のうち最も高いもの( 以下「範囲内最高年齢」という。)と最も低いもの(以下「範囲内最低年齢」という。)との差( 以下「特定数」という。)が4から9までの場合に限る。)に属する労働者数が、範囲内最高年齢に1を加えた年齢から当該年齢に特定数を加えた年齢までの範囲に属する労働者数の2分の1以下であり、かつ、範囲内最低年齢から1に特定数を加えた年齢を減じた年齢から範囲内最低年齢から1を減じた年齢までの範囲に属する労働者数の2分の1以下である場合をいう。)において、当該職種の業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の継承を図ることを目的として、特定労働者である派遣労働者の特定等を行うとき( 当該派遣労働者について期間の定めのない労働契約を締結することを予定する場合に限る。)。
  ⅲ:芸術又は芸能の分野における表現の真実性等を確保するために特定の年齢の範囲に属する派遣労働者の特定等を行うとき。
  ⅳ:高年齢者の雇用の促進を目的として、特定の年齢以上の高年齢者( 60歳以上の者に限る。)である派遣労働者の特定等を行うとき、又は特定の年齢の範囲に属する労働者の雇用を促進するため、当該特定の年齢の範囲に属する派遣労働者の特定等を行うとき(当該特定の年齢の範囲に属する労働者の雇用の促進に係る国の施策を活用しようとする場合に限る。)。

(4)派遣先が特定等に当たり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号。以下「均等法」という。) 第五条及び第七条の趣旨に照らし行ってはならない措置等
 ①:派遣先は、特定等を行うに当たっては、例えば次に掲げる措置を行わないこと。
  ア:特定等に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。
  イ:特定等に当たっての条件を男女で異なるものとすること。
  ウ:特定に係る選考において、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
  エ:特定等に当たって男女のいずれかを優先すること。
  オ:派遣就業又は雇用の際に予定される求人の内容の説明等特定等に係る情報の提供について、男女で異なる取扱いをすること又は派遣元事業主にその旨要請すること。

 ②:派遣先は、特定等に関する措置であって派遣労働者の性別以外の事由を要件とするもののうち、次に掲げる措置については、当該措置の対象となる業務の性質に照らして当該措置の実施が当該業務の遂行上特に必要である場合、事業の運営の状況に照らして当該措置の実施が派遣就業又は雇用の際に予定される雇用管理上特に必要である場合その他の合理的な理由がある場合でなければ、これを講じてはならない。
  ア:派遣労働者の特定等に当たって、派遣労働者の身長、体重又は体力を要件とすること。
  イ:将来、コース別雇用管理における総合職の労働者として当該派遣労働者を採用することが予定されている場合に、派遣労働者の特定等に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること。

 ③:紹介予定派遣に係る特定等に当たっては、将来、当該派遣労働者を採用することが予定されている雇用管理区分において、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない場合においては、特定等の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して特定することその他男性と比較して女性に有利な取扱いをすることは、均等法第八条に定める雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的とする措置( ポジティブ・アクション) として、①にかかわらず、行って差し支えない。

 ④:次に掲げる場合において① において掲げる措置を講ずることは、性別にかかわりなく均等な機会を与えていない、又は性別を理由とする差別的取扱いをしているとは解されず、①にかかわらず、行って差し支えない。
  ア:次に掲げる職務に従事する派遣労働者に係る場合
   ⅰ:芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請から男女のいずれかのみに従事させることが必要である職務
   ⅱ:守衛、警備員等防犯上の要請から男性に従事させることが必要である職務( 労働者派遣事業を行ってはならない警備業法( 昭和四十七年法律第百十七号) 第二条第一項各号に掲げる業務を内容とするものを除く。)
   ⅲ:ⅰ及びⅱに掲げるもののほか、宗教上、風紀上、スポーツにおける競技の性質上その他の業務の性質上男女のいずれかのみに従事させることについてこれらと同程度の必要性があると認められる職務
 イ:労働基準法第六十一条第一項、第六十四条の二若しくは第六十四条の三第二項の規定により女性を就業させることができず、又は保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三条の規定により男性を就業させることができないことから、通常の業務を遂行するために、派遣労働者の性別にかかわりなく均等な機会を与え又は均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合
 ウ:風俗、風習等の相違により男女のいずれかが能力を発揮し難い海外での勤務が必要な場合その他特別の事情により派遣労働者の性別にかかわりなく均等な機会を与え又は均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合



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